私が極度の緊張症&社会不安障害の時、どんな心理状態と思考をしていたか3
よく思われなくてもいいといくら自分に言い聞かせても、決して自分の無意識部分は納得してくれなかった。それどころか「あがるな」という命令が、「お前はあがり症である!」という事実を一層深めた。
私が『あがり症』という事実から逃れたい、必死で打ち消したい、見ないようにしたい。しかし『頼むから、あがらないでくれ!』と願った時点で、あがり症を自分から見てしまう。怖いものを見たくないのに、ちらっと見てしまって、よけい怖くなってしまう状況に似ている。
「どうしたらあがらなくできるのか? どうしようもないことなのか? なぜみんなあがらずに会議や発言ができるのか? 頑張ってあがり症を打ち消そうとしても、余計パニックに陥ってしまうのはなぜなのか?」
葛藤を続けていくうちに、すっかり出口が見えなくなり、ジレンマに陥った。私は「あがり症」さえ治ることができたら怖いものはなくなる。そうしたら、悩みは全くないといってよかった(と当時考えていた)。
しかし、他の人がいくら悩みと欠点を持とうとも、私のたった一つの弱点に比べたら、生きやすい。思う存分力を発揮できるだろうと思った。
「あがる」というただ一つの悩みと弱点が、人生すべてを黒く覆い隠すほど厄介なものだった。あがり症は、すべての私の行動一つ一つについて回った。
例えば、楽しいはずのセックスさえも、緊張によって、使い物にならないことが多々あった。精神的な悩みは、男のあそこの働きに直結してしまう。焦れば焦るほど、使い物にならなくなる。一番あがり症・緊張のメカニズムを現している事象だと思う(女性もそうだと思うが)。私の人生そのものが「あがり症」というもので言い表せた。
いったんあがってしまうと、その状況が不都合でいやでいやでたまらないから、打ち消そうとする。これは私だけじゃなくて、誰もが陥る罠だと思うが、プライドが高いほど、その状況が許せなくて、焦ってしまう。焦ったら、体と思考に柔軟性がなくなって、「あがる・あがらない」の世界になってしまう。
「あがっている、どうしよう」という思考から、「どうしよう、どうしよう、どうしよう×∞(無限)」のパニックに支配されて、頭が真っ白になる。もうどうしようもなくなってしまうのが私の特徴だった。いろんな人の体験談を読む限り、みなそうなのかもしれない。
あがり症の極致の状態は、言葉にならない状況だが、あえてあがり症のパニック状態の時に何を考えているかというと
「言葉を発しなくちゃいけない、沈黙はやばい、場を取り繕わねば、みんな変な目で見ているだろう、どうやってごまかそう、誰かがひそひそ話をしている、俺の悪口を言っているに違いない、笑い声だ、どうしよう、笑っている、絶対変に思われている、これが終わったらどうやってみんなと話そうか、威厳は保てるだろうか? 俺の人生は終わりだ、破滅だ、くそ、どうしよう、低く見られる、俺のことを馬鹿にするだろう、生きていけない、死にたい、死んでしまおうか、最悪だ、いまこの場から出て行ったら、よけい変に思われてしまう、だれか助けて、どうしよう、どうしよう」
0,01秒でこんなことを考えているに違いない。考えているというより、理性も何もかも吹っ飛んで、パニックになっていて、まともに考えていないかも知れない。
(続く)
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